肝細胞がんとは

肝臓のがんは、肝臓にできた「原発性肝がん」と別の臓器から転移した「転移性肝がん」に大別されます。
「原発性肝がん」には、肝臓の細胞ががんになる「肝細胞がん」と、胆たんじゅう汁を十二指腸に流す管(胆管)の細胞ががんになる「胆管細胞がん」などがあります。
日本では「原発性肝がん」の90%を「肝細胞がん」が占めます。

肝がんの多くは肝炎ウイルス(B型、C型)の感染による慢性肝炎や肝硬変が背景にあります。日本では肝がんの約60%はC型肝炎ウイルスの持続感染によります。B型、C型肝炎ウイルスに感染し、慢性肝炎や肝硬変となった状態を、肝がんになりやすい「肝がんの高危険群(ハイリスクグループ)」といいます。特に高危険群の人は、肝がんが発症しても早期に発見し治療することができるよう、定期的に検査を受けることが必要です。

B型、C型肝炎ウイルスに感染している人は、インターフェロン(注射薬)や核酸アナログ製剤などの経口薬による抗ウイルス療法によって肝がんを合併する可能性を減少させることが可能です。
アルコールのとりすぎは発がんの可能性を高めますので、注意が必要です。また、最近は、アルコール摂取と関係のない脂肪肝が原因で肝硬変や肝がんに至るケースが増えてきています。したがって、健康診断などで肝機能異常を指摘された場合には、たとえ肝炎ウイルス陰性であっても、一度肝臓専門医を受診することが推奨されます。

肝がんは医療機関での定期的な検診や精密検査、他の病気の検査の時に発見されることが多くあります。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどありません。肝がん特有の症状は少ないのですが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張った感じなどを訴える人もいます。
がんが破裂すると腹部の激痛や血圧低下を起こします。他には肝硬変に伴う症状として、食欲不振、だるさ、微熱、おなかが張った感じ、便秘・下痢などの便通異常、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、尿の色が紅茶のように濃くなる、貧血、こむら返り、浮腫、むくみ、皮下出血などがあります。肝硬変が進むと腹水(おなかにたまった体液)が出現したり、アンモニアが代謝されずに貯留することによる肝性脳症という意識障害を起こすこともあります。

また、肝硬変になると肝臓に血液を運ぶ門脈の流れが悪くなります。その代りに食道や胃などの静脈が腫れてこぶのようになります(食道・胃静脈瘤)。これらのこぶが破裂して(静脈瘤破裂)大量の吐血や下血が起こることもあります。
静脈瘤破裂は時に致命的となりかねないため、肝硬変と診断された場合には、定期的な内視鏡検査を受けることも大切です。

日本の肝がん治療は世界でもトップレベルにあり、早期発見・早期治療により長期生存も期待できます。多くの方法がありますので、医師と相談して適切な治療を選びましょう。

検査と診断

肝がんの検査としては、超音波検査やCTなどの画像検査と腫瘍マーカー検査を組み合わせて行います。必要があれば針生検などの検査を追加して行います。

治療

肝がんの治療は、手術、焼灼療法(穿刺局所療法の代表的なもの)、肝動脈塞栓療法の3つが中心になります。肝がんの患者さんの多くは、がんと慢性肝疾患という2つの病気を抱えています。そのため治療は、がんの病期(ステージ)だけでなく、肝機能の状態なども加味した上で選択する必要があります。
担当医と治療方針について話し合う参考にしてください。

引用:国立がん研究センターがん情報サービスリーフレット「肝細胞がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ」より