KNOWLEDGE

肺がんとは

鳥取県の肺がんの現状(2017~2021年)

ご覧になりたい資料のサムネイルを選択すると拡大表示されます。

ステージ別治療方法件数(治療前)

ご覧になりたい資料のサムネイルを選択すると拡大表示されます。

5年生存率集計(2013〜2015年)

ご覧になりたい資料のサムネイルを選択すると拡大表示されます。

肺について

肺は左右の胸に1つずつあり、右肺(うはい)は3つ、左肺(さはい)は2つに分かれています。分かれたそれぞれの部分を肺葉といいます。
肺は、体の中に酸素を取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出す働きをしています。空気の通り道である気管が、左右の主気管支に分かれて肺に入る部分を肺門、肺門以外の部分を肺野といいます。主気管支はさらに何回も枝分かれをし、その先端付近には肺胞という小さな袋がたくさんついています。
肺は、胸壁(きょうへき)(胸部を作る壁)で囲まれた胸腔という空間の中にあり、胸膜という薄い膜でおおわれています。左右の肺にはさまれた部分を縦隔(じゅうかく)といい、気管や食道、心臓などがあります。

肺がんとは

肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れなどに乗って転移することもあります。転移しやすい場所はリンパ節や、肺の中のほかの部位、胸膜、骨、脳、肝臓、副腎です。
 
早期には症状が見られないことも多く、進行して初めて症状が出ることもあります。主な症状としては、咳や痰、血痰(痰に血が混じる)、胸の痛み、動いたときの息苦しさや動悸(どうき)、発熱などがあげられます。しかし、いずれも肺炎や気管支炎などの呼吸器の病気にも共通する症状で、「この症状があれば必ず肺がん」という症状はありません。また、このような症状がないまま進行し、医療機関での定期的な検診や、ほかの病気の検査で偶然見つかることもあります。なお、脳や骨などに転移すると、頭痛やふらつき、背中や肩の痛みなどの症状が出ることもあります。
最も多い症状は咳と痰です。原因が分からない咳や痰が2週間以上続く場合や、血痰が出る場合、発熱が5日以上続く場合には、早めに身近な医療機関を受診しましょう。

がんの種類(組織型)について

肺がんの主な組織型(がんの種類)は、腺がん、扁平(へんぺい)上皮がん、大細胞がん、小細胞がんの4つです(表1)。腺がんが最も多く半数以上を占め、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの順に続きます。なお、腺がんは肺腺がんと呼ばれることもあります。
いずれの組織型のがんでも発生要因の1つに喫煙があります。中でも、扁平上皮がんや小細胞がんは喫煙との関連が大きいがんですが、喫煙をしていない人でも肺がんになることもあります。

表1 主な肺がんの組織型とその特徴
組織分類 多く発生する場所 特徴
非小細胞肺がん 腺がん 肺野 ・肺がんの中で最も多い
扁平上皮がん 肺門
(肺野部の発生頻度も高くなってきている)
・咳や血痰(けったん)などの症状があらわれやすい
・喫煙との関連が大きい
大細胞がん 肺野 ・増殖が速い
小細胞肺がん 小細胞がん 肺門・肺野ともに発生する ・増殖が速い
・転移しやすい
・喫煙との関連が大きい

検査と診断

健康診断や検診、または症状があって受診した際には、多くの場合胸部X線検査が行われます。肺がんが疑われた場合には、胸部CT検査が行われます。異常が見つかった場合には、肺がんが疑われる部位から細胞や組織を採取する病理検査を行います。これによりがんかどうか、がんの場合はどのような種類のがんであるかを調べ、診断を確定します。
細胞や組織を採取するために最も多く行われているのは気管支鏡(きかんしきょう)検査ですが、状況によっては経皮的針生検(けいひてきはりせいけん)や胸腔鏡(きょうくうきょう)検査などを行うこともあります。胸部CT検査で見つかった病変が小さく、病理検査が難しい場合には、経過観察になることもあります。
また、がんの病期や広がりを調べるために、胸腹部の造影CT検査や脳のMRI検査、PET検査、骨シンチグラフィなどを行います。
どの検査をどのタイミングで行うかは、必要に応じて担当医が判断します。検査をする前の説明をよく聞いて、分からないことや気になることがあれば、遠慮なく担当医や看護師に聞きましょう。

治療

肺がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法、緩和ケア/支持療法があります。
肺がんの治療法は、組織型が小細胞がんの場合とそれ以外の場合とで大きく異なります。このため、肺がんを「小細胞肺がん」「非小細胞肺がん」に大きく分けて扱います。「非小細胞肺がん」には、腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんなどの組織型の肺がんが含まれます。
 
治療は、がんの進行の程度を示すステージ(病期)やがんの性質、体の状態などに基づいて検討します。
病期や組織型、異常のある遺伝子などに応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。